久米島の自然環境概要

「陸域における自然環境の保全に関する指針(沖縄県)」では、久米島の自然環境を以下のように記載している。(以下抜粋)

(57)久米島
 久米島の北側は隆起サンゴ礁が島に縁着し、かなり広い礁原を発達させており、具志川城址のすぐ下の海岸には特にミズガンピ等の海浜群落が発達している(「久米島北海岸のミズガンピ群落」)。「久米島大岳のイタジイ林」は、大岳、宇江城岳の中腹部に成林するイタジイ林であり、高木層はイタジイが優占し、低木層にはコバンモチ、シシアクチ、アデク等、草本層にはタシロスゲ、シラタマカズラ、ヨゴレイタチシダ等が出現する。群落高は6~10mと低く、特に北斜面は風衝性で矮生化しているが、島に残されている自然林としての学術的価値は高い。具志川村上原地域から北原地域にかけてのリュウキュウマツ並木は、樹高10m内外、胸径25cm位の見事な並木であり、防風、防潮林としての機能を果たしている(「北原地域の松並木」)。白瀬川の河崖海抜47mに位置するイシキナハ御嶽には、石灰岩を基盤にする御嶽林が古くから保護され、自然の状態で良く保存されている。高木層にタブノキ、クスノハカエデ、クワノハエノキ等が優占し、かなりうっぺいした樹冠を作っており、亜高木層、低木層ではモクタチバナ、リュウキュウガキ等が優占し、石灰岩地に成林する林分の特徴を示している(「イシキナハ御嶽の石灰岩地植生」)。「ウーリ池のタブノキ-クロツグ群落」(「ウーリお嶽一帯の植物群落」)は、ウーリ池に三方を囲まれた丘陵部に成林する常緑広葉樹林であり、樹高8m前後、高木層にタブノキ、ホルトノキ、イタジイ等、亜高木層にモクタチバナ、コバンモチ、ヤブニッケイ等が出現し、低木層はクロツグが優占し、草本層ではビロウも出現する。「兼城御嶽の御嶽林」(「兼城御嶽と植物群落」)は、低地部に成林した常緑広葉樹林であり、高木層の樹高は15mと高く、クワノハエノキ、リュウキュウハリギリ、クロヨナなどの大木が多く、亜高木層はリュウキュウハリギリ、ハマイヌビワ、ハブカダラ等が出現し、低木層はクロツグが優占し、林床を覆っている
 島の北西海岸や北海岸には、完新世離水サンゴ礁原が分布し、中でも久米島空港西から具志川城跡の海岸部は長さ約 5.5kmにおよぶ離水サンゴ礁で縁取られている。比嘉から謝名堂にかけての一帯は、久米島で最も広い海岸低地をなしており、海岸には平行して三列の堤州(浜堤)が見られ、これらを堤州列(浜堤列)という。西海岸の鳥島の南、離れ岩には、二重のノッチがみられ、下位のノッチは現海面の平均高潮位に位置するが、上位のノッチは現海面より約3m上に位置する離水ノッチである。具志川村の久間地および仲地には、長径約1kmにおよぶ石灰岩の溶食凹地(ドリーネ)がある。白瀬川河口部にある石灰岩堤は、谷沿いに発達する石灰岩堤の典型であり、左岸側約1100m、右岸側約600mの長さである。久米島空港から鳥島に至る、通称「大原砂丘」と呼ばれる長さ約 3.5km、標高10~20mの砂丘の下部は、砂丘砂が固結した砂丘岩となっている。
 その他、天然記念物として「久米の五枝のマツ」(国指定)、「宇根の大ソテツ」、「仲里村真謝のチュラフクギ」(県指定)、「米原御嶽の一本松」、「池田の六本松」、「タキンダの松並木」、「天宮城」、「タチジャミ」、「カワラナデシコ」、「比嘉の一本松」(仲里村指定)、「武富拝所と大ガジュマル」、「大岳小学校の松並木」、「瀬寿の一本松」、「新田の二本松」(具志川村指定)、史跡として「具志川城跡」(国指定)、「仲里間切蔵元跡」、「ウティダ石」、「宇江城城跡」、「久米島大原貝塚」、「伊敷索城跡」(県指定)がある。
 
(58)久米島南部
 「久米島のトクジムのオキナワシャリンバイ-バケイスゲ群落」は、トクムジ海崖の母岩の安山岩が露出し海からの強い潮風を受けてできた風衝植生である。群落の高さは約0.8mであり、構成種は木本のオキナワシャリンバイ、ハマヒサカキ、クサトベラ、ソテツ等が混成し、草本のバケイスゲ、キキョウラン、ワラビ、ツワブキ等が出現する。
 島尻の南には、平均海水面上約2mに位置する離水ビーチロックがある。
 その他、名勝として「トクジム海岸と一帯の安山岩」(仲里村指定)がある。
 
(59)久米島東部
 オーハ島から御神崎にかけては、全長12km、幅1~ 2.5kmのサンゴ礁上に砂が堆積してできた洲島(サンドケイ)とよばれる小島が連なっている。これらは、オーハ島側から、「前浜」(長さ300m)、「高浜」(同700m)、「中浜」(同2700m)、「果浜」(同500m)と呼ばれている。奥武島の南海岸には、長さ約500mのビーチロックがある。オーハ島には、大小二つのビーチロックがある。奥武島の南海岸には、一般に「畳石」(「仲里村奥武島の畳石」)と呼ばれている、五角形や六角形の岩が亀甲状に並んだ形をした波侵棚がある。この多角形は、溶岩が冷え固まるときに収縮するために出来たひび割れで、柱状節理と呼ばれる。
 
 
(60)硫黄鳥島
 「硫黄鳥島のハチジョウススキ群落」は、噴火口外側の斜面部に生育しているハチジョウススキを主体にした先駆的植生であり、ハチジョウススキの低い株立ちした林分を中心にハマヒサカキ、シャシャンポ等が出現する。「硫黄鳥島のマルバニッケイ-シャシャンポ群落」は、島の中央部の火口壁周辺から北西側の最高峰にかけてとその東側斜面にかけて発達している。県内でマルバニッケイの群落が成林しているのは此処だけである。
 硫黄鳥島は、徳之島の西方65kmに位置する沖縄県最北端の島であり、沖縄県で唯一の活火山の島である。島は、北西側の硫黄岳火口を中心とする「硫黄岳火山体」と南東側のグスク中央火口丘を中心とする「グスク火山体」の二つの火山体が併合して出来ている。いずれの山体にも、噴気孔があり、火山ガスが噴出している。島の東海岸端の浜では温泉が湧出している