フェリーから観察できる地形

久米島へフェリーでお越しの際には久米島の変化に富んだ海岸地形をお楽しみ下さいませ。

鳥の口を回り込んだあたり


急峻な露岩した海岸地形が続きます。海岸斜面にはリュキュウチクを主たる構成種とする笹灌木林が広がり、ビロウがところどころに生育しているのが分かります。
これは沖縄地域の典型的な風衝地の景観で、風当たりが強く斜面が急で岩の上に堆積したわずかな土を植生基盤とする植物が生育する過酷な条件です。
また、土砂崩壊跡をみるといかに急峻かが分かります。

さらに進むとアーラ岳が見えてきました。


このあたりで植生や地形に変化がでてきます。ほぼ垂直な岩壁やリュキュウチク林から広葉樹が増えてきます。急峻な斜面ではありますがいくつか谷が走っていますが、谷と尾根の凹凸が風当たりを左右し植生を大きく変えているのか、地形と植生のリンクをしっかり捉えることのできる山腹面です。

アーラ岳を回りこむと当店のカヤックフィールドとして愛用しているアーラ浜が見えてきました。


アーラ岳もアーラ浜側からみると広葉樹が主体の亜熱帯性林となります。4,5月頃の新緑の季節は青々としていて綺麗な森です。
よくみると、海岸斜面が崩壊しているところや、林道沿いの人工的に手
が入っている箇所、恐らく造林によりリュウキュウマツ林化している林相なども見ることができます。

また今までみた砂浜より綺麗な砂浜が広がっているのも分かります。鳥の口付近は岩などが多く陸由来の堆積物が多かったですが、アーラ浜は海洋由来のサンゴ堆積物からできた砂浜です。
このように砂浜の成因も考えるとより島の地形が捉えやすいです。

アーラ浜を越えるとサンゴ礁がつくりだした地形をみることができます。


このような平らな地形はサンゴ礁が隆起により成り立ったもので、数段の段丘構造になっているのもうっすら分かります。
氷河期の温度変化に伴い海水面が上下した際に、何回かに分かれてサンゴ礁の上に砂礫が堆積したと考えられ、沖縄の平らな海岸は1~数段の隆起サンゴ礁の海岸段丘になっている場合が多いです。

海側を見ると


発達したサンゴ礁のリーフを見ることができます。ここから空港あたりやはての浜付近の海域ではこのような発達したサンゴ礁を見ることができ、サンゴ礁が自然の防波堤となっているのが分かります。
これも久米島の地形の大きな特徴だと思います。


港に近づくと


侵食を受けた石灰岩を観察できます。このように海面付近が波や化学的な溶食作用により窪んだ地形をノッチといいます。以前カヤックで現地踏査を行ったところ、この場所は侵食により奥部に空洞ができ中は一部鍾乳石化しており、海食洞のできはじめみたいな状態になっていました。
なかなか見ごたえのある石灰岩地形だと思います。

港入港時はこんなのもみれます


スクリューにより低質砂が巻き上げられた状況です。
久米島は赤土流出が多い場所で、耕作地等の土が雨で流出し海岸部には堆積しています。
大雨の跡などは、大量に流れ出た赤土により近海域は褐色になります。
珊瑚の生育などに悪影響を及ぼし、沖縄では深刻な環境問題となっています。
美しい光景ではないかもしれませんがこういう状況も見て頂ければと思います。

そして、無事港に着きました。


長らくの船旅、お疲れさまでした。


上陸してからは、海岸からの遠景が見れませんが、遠景である程度島の地形と環境条件を把握しておけば、上陸後のフィールド散策が効率的に行えます。

船旅も結構オススメです。