アーラ浜でカヤックをするとアーラ岳の頂上は雲で隠れて見えないことが多いです。
せいぜい200m程度の高度ですが、湿度の高い日や晴天の夏場などに山の上だけ雲がかかりジャングルのような雰囲気を醸し出しています。
そんな雲のできる仕組みを少しまとめてみましょう。
アーラ岳の雲が形成される過程を考察するためにも、雲のできるメカニズムを理解していく必要がある。
雲ができるメカニズムは
水蒸気を含んだ空気が上昇気流に乗り上昇する
↓
上昇に伴い、気圧が下がる。気圧が下がると空気が膨張し気温が下がる。
↓
気温が下がると空気中に含むことのできる水蒸気の量が下がるため。
↓
余剰な水蒸気が、凝結し液体化し雲を形成する。
このメカニズムを捉えるためのポイントとなるのは
〇気温が高い=空気中に含むことのできる水蒸気の割合が高い
気温が低い=空気中に含むことのできる水蒸気の割合が低い
〇空気が上昇すると気圧がさがるため膨張する。
膨張すると体積が増加するため、分子の運動は体積を増やすことにエネルギーを使うので温度は下がる。
水蒸気量が飽和していない空気塊は100mの上昇につき約0.5℃気温が低下
〇気温が下がりと空気に含むことができる水蒸気の量が飽和状態になり、空気中にいれなくなった水蒸気が空気中の小さな「ちり」などの周りに集まり,凝結し水滴や氷の粒となる。この際、空気中に水滴がくっつく微粒子(凝結核)が必要。
①海上で水蒸気を豊富に含んだ空気塊が発生し海風により陸の方に流れてくる。
②久米島沿岸に発達したサンゴ礁では波が砕かれ空気中に塩類が飛散する。
↓
「①、②が混ざり合った空気塊」=「水蒸気量が飽和状態に近い状態で塩類凝結核を含んだ空気塊」が山の斜面で上昇気流により上昇する。
↓
上昇により気温が低下し、飽和状態となった水蒸気が凝結し水滴を生じ雲となる。
というメカニズムが想像できます。
「海上の湿った空気」と「サンゴ礁の波が作る凝結核」という二つの要素が、急斜面を移動することでわずか200mほどの山に雲を形成するのではないかと思います。
このように沿岸の急傾斜で雲ができるので、条件が良ければ頂上より低い位置に雲が形成され、高度2~300m程度の場所でも雲海を望める場合もあります。
写真は宇江城城跡で観察した雲海。(標高約310m)
このような条件になるのは、少しの上昇で雲が形成されるよう飽和状態に極めて近い水蒸気量のの空気塊が海上で形成された場合ではないかと考えられます。